電車の中で読む本が欲しくて、文庫になっていた松岡修造さんの「本気になればすべてが変わる」を読みました。
この季節にこの本を読むのは、なんとなく真夏にお鍋を食べる感覚に似てなくもないですが(笑)
松岡修造さんの本には、アスリートの方々の体験談が載っているので興味深いです。
たとえばこちらは、北京オリンピックでメダルを獲った水泳の松田丈志選手のお話。
タイトルは「良い条件が良い環境とはかぎらない。『本当にやりたいことはこれ!』という自分の声を聞け。」です。
P78
北京オリンピックの競泳男子二〇〇メートルバタフライでみごと銅メダルを獲得した松田丈志選手は、四歳のとき地元宮崎県延岡市の中学校を利用したスイミングクラブに入会し、以来、久世由美子コーチの指導を二十年間受け続けてきました。
久世コーチには一流選手を指導した経験がなく、練習場はビニールの屋根をかけた小さな屋外プール。お世辞にも「良い条件」とは言えません。けれど、久世コーチの愛情や地元の人たちの応援を受けて練習することで、「強くなりたい」という彼の思いは、より強烈なものになり、日本新記録で銅メダルという結果に結びついた。「ビニールハウスプール」は、松田選手にとって最高の環境だったといえます。
彼はジュニアの全国大会で優勝した逸材でしたから、もっと良い条件が揃ったスイミングクラブに移ることもできたはずです。しかし松田選手は、「もしそうしていたら、たぶん僕はつぶれていた」と語っていました。
松田選手のパーソナルヒストリーは、良い条件が自分の力を伸ばす良い環境とはかぎらない、ということを示唆しています。
一般的には、受験でも就職でも、良い条件の学校や会社を選ぶにこしたことはないでしょう。けれど、「自分は何をしたいのか。そのために必要な環境は何か」を考えず、「有名校だから」「大企業だから」と、聞こえのいい条件だけで選んでしまうと、「ここでは自分の力を伸ばしていくのは難しい」と後悔してしまうこともあります。
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大切なのは、「本当にやりたいことはこれ!」という心の声に耳を傾けること。なんとなく聞こえてくるものだと思っていると、いつまでたっても聞こえてこない。それで自分が何をしたいのかわからなくなり、「自分探し」の迷路に入ってしまう人もいます。
心の声を聞き取るのは意外と難しいものですが、日記や「自分の取扱説明書」を書いて自分と向き合う時間をもつようにすることで、しだいに聞く耳が養われていきます。
そういえば、この聞く耳を養う方法が、昨日までご紹介していた「結局、『すぐやる人』がすべてを手に入れる」に書いてありました。ジュリア・キャメロンの「ずっとやりたかったことを、やりなさい」という本に書かれていた方法だそうです。
その方法は、毎朝必ずノートに3ページ分「今頭の中を流れている言葉」を書くというもの。文章じゃなくてもいいので、そして誰に見せるものでもないので、「眠い。だるい。今日は寝ていたい」とかでもOK。とにかく瞬間的に思いついたことを書き殴ればいいとのこと。毎日続けると、自分の感覚に自覚的になり、自分は本当はどうありたいか、という感覚にも気づくようになるそうです。