松井さんのその後につながる・・・

10・8―巨人vs.中日史上最高の決戦

松井秀喜さんが、入団2年目でこの日の試合を経験したことが、その後の考え方を形成した、と書かれていました。

P179
 松井はこの8年後、02年にフリーエージェントとなってニューヨーク・ヤンキースに移籍した。
 メジャー1年目のポスト・シーズン、アメリカン・リーグリーグ・チャンピオンシップ・シリーズで、宿敵ボストン・レッドソックスとメジャーの歴史でも語り草となる激闘を演じている。
 10月16日。3勝3敗で勝った方がワールド・シリーズ進出を決めることになる「ゲーム・セブン」がその戦いだった。
 この試合を前に、松井も「10・8決戦」で落合や原が感じていたのと同じであろう底のないような緊張感を、味わうことになった。
 この試合で松井は3点を追う8回にゲームの流れを変える活躍を見せた。この回、松井はデレク・ジーター内野手二塁打とバーニー・ウィリアムズ外野手の安打で1点を返したなお一死一塁で、当時、メジャー最強投手と言われていたレッドソックスペドロ・マルチネス投手から右翼線に二塁打を放ちチャンスをつないだ。さらに続くホルヘ・ポサダ捕手のセンター前タイムリーで同点のホームに滑り込んだ。そうしてヤンキースは、延長11回にアーロン・ブーン内野手サヨナラ本塁打で劇的勝利を飾ってワールド・シリーズ進出を決めることになった。
 この後に松井は、このときに経験した底なしの緊張感と張りつめた空気感は、舞台こそ違えど、まさに「10・8決戦」と同質のものだったと語っている。そしてその中で自分が普段通りのパフォーマンスを発揮できたのは、一つには「10・8決戦」の経験があったからではないかと考えることがあるという。
「ああいう大きな試合のときって、楽しみとプレッシャーと、どちらが強いのかは判らないんです。多分、両方なんだと思う。ただ、僕の場合は怖さというのはない。やるしかないから。負けたらどうしようとか、打てなかったらどうしようとか、そういうことは考えません。考えたらキリがないですから。もちろんそういうネガティブな考えが浮かばないことはないんです。そこでもう一度、それじゃあどうしたらいいのかを冷静に考える。そうすると普段通りに、いつも通りにやるしかないじゃないか、となるんです。それが僕の考え方だし、そうやって結果を出してこられたから、その考えをより強いものにできてきた。その原点にあるのが“10・8”だし、何も判らない若造としてあの“10・8”を経験したことが、その後の僕の考え方に結びついた部分もあったと思います」

こちらに、松井さんと黒田さんの対談がありました♪→http://www.dailymotion.com/video/x25m3sm_2014-03-22