森博嗣さんの本

素直に生きる100の講義

ふと目について、すごく久しぶりに森博嗣さんの本を読んでみました。
20代の頃、この方のミステリにはまって以来、ずいぶんご無沙汰です。
この本はエッセイで、私にはかなり極端に思える考え方も多かったですが、
こういうシアワセもあるのだな〜と、ちょっと日頃思いつかない領域をかいま見るような感じでした。
ちなみに森博嗣さんはこんな方です→http://www001.upp.so-net.ne.jp/mori/am/about_mori.html
少しご紹介したいと思います(^^)

P106
 自動車が好きだった頃には、スポーツカーや外車を何台も買ったりしたけれど、もうすっかり厭きてしまった。僕はとにかく小さい車が好きで、たとえば日本車だったら絶対に軽が良いと思う。値段とか燃費とかではなく、大きさが小さいのが好きだからだ。・・・
 グルメではないし、高級レストランなんて、滅多に行かない。外食をするにしても安いものを食べる。一年に一回か二回くらい、ラーメンかカレーライスを食べにいく程度。・・・
 着るものは、ここ数年は新しいものを買っていないのではないか、と思い出すくらいだ。何千円もするTシャツを買うけれど、何年も着られるから、安いものを買うよりもトータルで安くなる。・・・
 友達づき合いをしないし、酒も飲まなくなって二十年くらいになるし、パーティにも出ないし、人にものを贈ることもない。好きなものを買っているけれど、あれもこれもと買っているうちに置き場所がなくなるし、好きなもので買っていないものが減ってくるからいずれは飽和する。そうなったら、買ったものだけで一生好きなことをして遊んでいける。もう金を使うことがなくなるだろう。
 薬は一切飲まないし、病院へはもう三十五年くらい行っていない。多額の国民健康保険料を支払っているだけだ。もうこの歳まで生きられたのだから、病気になったら早めに死ねると良いなと思っている。それには、できるかぎり医者へ行くのを遅らせるのが有効だろう。健康診断なんかもってのほかである。
 こういうのは、僕の家族もだいたい同じ価値観らしく、浪費をする人間がいない。僕の奥様もそうだ。だから、お金が減っていかない。この頃、できるだけ仕事を減らしているけれど、それでも過去の仕事の結果として、今でもそこそこ収入があって、税金も沢山納めているし、貯金も増えている。
 今のこの生活というのは、つまり人に自慢できるものに価値を見出さない、という基本的な好みの結果だと思う。人に羨ましがられたいという気持ちがないので、つまり、自分が好きなことをしているだけだ。安いものが好きだから、それを選択している。貧乏くさいとか惨めだとか、そういう発想がそもそもない、ということである。