西川勢津子さん

暮らしの知恵 365日・秋の篇 (PHP文庫)

年末が近づいてきたので、お部屋の整理をしていて見つけた切り抜きに、西川勢津子さんのものがありました。
暮らしの工夫を、婦人雑誌などに書いたり、本を出したりされてた方です。
切り抜きはインタビュー記事で、季節の保存食について、など書かれていたのですが、その最後の文章が胸に響いて、取っておいたのでした。
ここに書きとめておきたいと思います。

実は私、06年の春からケアホームに入居しております。
長年慣れ親しんだ家を離れるのも、お花の面倒がみられなくなるのも、何もかもできなくなるのがいやでいやでしかたなく、思わず涙してしまうことも……。
でも、老いては子に従え。
子どもたちが心配してのこと、ありがたいことと思い、入居に至りました。
ここでは、栄養バランスが考えられて、きれいに盛りつけられた食事が三食きちんと出てきます。
それはそれでおいしいのですが、やっぱり自分でつくったごはんを食べたくなるのです。
八百屋に行き、旬の果物を手に取り、香りをかいで自分で選ぶ。
いまの季節なら、みかんやりんごかしらね。
自分で皮をむいて、好きなだけ食べられる。
これってとっても贅沢なことだったのね、とつくづく思わずにいられないのです。
こんなふうに“小さなこと”に感謝しつつ、暮らしていけたら幸せです。