つづきです

風になる―自閉症の僕が生きていく風景

他にも、心に響いたところです(^^)

P79
 楽に生きられるということは、遊んで暮らすことではありません。自分らしく生きるために、工夫することです。

P113
 人は、ありのままの存在を認めてもらった時に、自分の価値を自覚するのだと思います。障害のあるなしにかかわらず、その人にとって、かけがえのない人間だという実感、それが重要になります。
 人が生きる上で最も大切なのは「希望」です。・・・
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 希望というものは普通、将来の夢や目標で、自分の力で探すものだと思われています。けれども、僕はそれだけではないと考えています。希望は生きる意欲を引き出すためのものだからです。人から「好き」と言われることも「希望」ではないでしょうか。
 明日の自分を待っていてくれる人がいる。そう思えることが、希望のない人の「希望」になるのです。

P115
 僕にとっての彩りとは、自分がいかに幸せになれるかということであり、決してお金では買えないものだとわかっています。悲しい時には大声で泣き、嬉しい時には笑い転げる、そんな素直な生き方ができるようになるのが、僕の目標です。

P117
 考えてみると、その頃の僕は、自分の存在がうとましいだけでした。自分がなぜ、そこにいるのかもわかりませんでした。僕は自分を守るために逃げていたのです。・・・
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 僕は、逃げ回っていた頃の自分を責めることはできません。そうしなければ、生きていけなかったからです。今の僕に必要なのは、昔のどんな自分も肯定できる自分自身へのやさしさと、未来に向かって歩いていこうとする前向きの決意です。