オバケのQ太郎

人生の旅をゆく 2

今、よしもとばななさんの「人生の旅をゆく2」を読んでます。
とってもいいなと思ったところのご紹介です。

P108
 私は、実を言うと「オバケのQ太郎」を常に全巻たずさえて生きてきたので、今回読んだ分もほとんどが、大人になってからも読みかえして親しんでいるエピソードなのだった。
 でも、改めて思ったことがある。
 Qちゃんは、なんとほとんどなんの役にもたっていないし、涙もろいし人情家ではあるけれど、わがままだしマイペースだし、怒りっぽいし、案外なんでもすぐ割り切るし、けっこうクールなのだ。・・・
 そうか、そうだったのか、大人になってアニメを見ていて、なんとなく感じていた違和感はこれだったのか。そして私がドラえもんは役だちすぎるからなあ、といつでもQちゃんのほうに肩入れしていた理由もなんとなくわかった。
 この当時の豊かな時代において、なんの役にもたたない、大飯食らいの、でも正直でかけがえのない、異文化を背負った友だちがやってきたということは、大人にも子どもにもなんとなく嬉しくてしかたないことだったのだ。・・・
 なんて豊かな子ども時代を、私は過ごしたのだろう、Q太郎といっしょに育ちながら。
 あらためてそう思わずにはいられなかった。