つづき3

今、生きる秘訣―横尾忠則対話集 (知恵の森文庫)

陶芸家の加藤唐九郎さんとの対話には、こんなセリフがありました。
この方、横尾さんが「加藤さんの印象は聖者とプレイボーイが同居しているという感じだなあ(笑)」と言っているように、とても魅力的です。

P140
陶芸に腹を決めるまで、いろんなことをやったが、やってもやっても道が開けないんですね。迷い迷っていろいろとやっとった。そのとき思ったんですが、世の中っていうのはいくら真面目にやっても誰も真面目を認めやしないと。いくら何をやっとっても、けっきょく自分のやりたいことをやっとったほうが勝ちなんだと思った。

P141
(創作するという場合には、世俗的な雑事をいっさい仕切って、それだけに没頭されるほうがいいですか)
いや、それが実際やってみるとね、俗事に刺激を受けないと、ちっとも新しい思いつきが出てこんですね、やっぱり(笑)。賑やかな所へ行って刺激を受けたり、女に会ったりね、いろいろしないと自分の奥にしまってあるものが失われちゃう(笑)。

P150
作ろうと思って作るよりも、いろいろやっているうちにできたというほうが多いね。それでもう一つ作ろうと思ってもできんね。一つしかできん。二つ目を、それを見て作ったときには、もうはるかに劣っておるね。

このお二人の会話には
加藤「女のほうが勘がいいものね」
横尾「やっぱり女って不思議な神通力を持っていますね」
という話も出てきて、いろいろおもしろかったです(笑)